A Book B Book(Aブック・Bブック)とは
A Book(Aブック)とB Book(Bブック)は、FX業者が顧客の注文を処理する2つの主要な方式を指す。Aブックは注文を外部の流動性プロバイダー(銀行やECN)へ転送し、Bブックは業者内部で顧客同士の注文を相殺(ヘッジ)せず、業者自身が取引の相手方となるモデルである。
クイック定義
Aブックは「透明な市場直結型」、Bブックは「業者内で完結するディーリング型」の執行モデル。Aブックでは業者はスプレッドや手数料で収益を得るが、Bブックでは顧客の損失がそのまま業者の利益となる。多くの業者は両方を併用する「ハイブリッドモデル」を採用している。
詳細解説
Aブック(STP/ECNモデル)
Aブック方式では、顧客の注文は業者のサーバーを通過後、即座に外部の流動性プール(銀行間市場やECN)へ転送される。業者は「ブリッジ」として機能し、注文のマッチングを外部に委ねる。この場合、業者の収益は主に以下の2つだ。
- スプレッドのマークアップ:市場実勢スプレッド(例:EUR/USDが0.1pips)に業者独自の上乗せ(例:0.7pips)を加える。
- 固定手数料:1ロット(10万通貨)あたり$7などのコミッション。
Aブックの最大の特徴は、業者が顧客のポジションの「相手方」にならないことだ。顧客が勝とうが負けようが、業者の収益は取引量に比例する。このため、利益相反が少なく、透明性が高いとされる。
Bブック(マーケットメイカー/NDDモデル)
Bブック方式では、顧客の注文は外部へ転送されず、業者内部の「注文板」で処理される。業者は顧客の買い注文と売り注文をマッチングさせ、残ったリスクを自社で保有する。つまり、業者が実質的な「カウンターパーティ(相手方)」となる。
Bブックの収益構造は以下の通り。
- 顧客の損失:顧客が負けると、その損失額がそのまま業者の利益になる。
- スプレッド:Aブックと同様にスプレッドも徴収するが、Bブックではスプレッドが広めに設定される傾向がある(例:1.2pips)。
Bブックは、小口のリテール顧客(例:口座残高$500)が多い場合に有効だ。なぜなら、小口顧客の多くは長期的に損失を出す傾向があり、業者にとっては「安定した収益源」となるからだ。
ハイブリッドモデル
実際の多くのFX業者は、顧客を自動的に振り分ける。例えば、以下のような基準で判断する。
- プロトレーダー(勝率が高い、大口) → Aブックへ転送
- 一般顧客(小口、スキャルピングしない) → Bブックで処理
この振り分けは、業者のリスク管理システムがリアルタイムで行う。顧客が連続して勝ち続けると、システムが自動的にAブックへ切り替えることもある。
実例
例1:Aブックの場合
- 顧客AがEUR/USDを1.1000で1ロット買い注文。
- 業者は市場実勢スプレッド0.2pipsに0.5pipsを上乗せし、1.1005で約定。
- 外部の流動性プロバイダーが1.1000で受ける。
- 業者の収益:0.5pips × 10万通貨 = $5(スプレッド収益)
例2:Bブックの場合
- 顧客BがUSD/JPYを150.00で1ロット売り注文。
- 業者はこの注文を外部へ出さず、自社のリスクとして保有。
- その後、USD/JPYが149.50まで下落。
- 顧客Bは50pipsの利益(=$500)を得るが、これは業者の損失となる。
- 逆に、USD/JPYが150.50まで上昇すれば、顧客Bは50pipsの損失(=$500)となり、これが業者の収益になる。
例3:ハイブリッドの振り分け
- 顧客Cが口座残高$10,000で、過去3ヶ月連続して月利+10%を達成。
- 業者のリスクシステムが「この顧客は勝ちすぎている」と判定。
- 次の注文から自動的にAブックへ転送され、業者はスプレッド収益のみを得る。
トレーダーにとっての重要性
AブックとBブックの違いは、トレーダーの収益性に直接影響する。
- Aブック環境:スプレッドが狭く、約定速度が速い。ただし、手数料が別途かかる場合がある。スキャルピングやニュース取引に向く。
- Bブック環境:スプレッドが広く、約定拒否やスリッページが発生しやすい。ただし、手数料が無料の口座が多い。長期保有やスイングトレードでは、スプレッドの広さがコスト負担になる。
重要なのは、どちらが「良い」かではなく、自分の取引スタイルに合うかだ。また、業者が公表する「執行モデル」が実際と異なる場合もあるため、約定品質を自分の口座で検証することが推奨される。
よくある誤解
誤解1:「Bブックは必ず悪質」 → 誤り。Bブック自体は合法的なモデルであり、多くの老舗ブローカーが採用している。問題となるのは、顧客の損失を意図的に誘発する「不正な操作」であって、Bブックそのものではない。
誤解2:「Aブックなら絶対に勝てる」 → 誤り。Aブックでも、スプレッドと手数料の合計コストが高い場合は、勝ち続けるのは難しい。また、Aブックでも流動性が薄い時間帯はスリッページが発生する。
誤解3:「ハイブリッドは顧客を騙している」 → 誤り。ハイブリッドは業界標準であり、顧客の取引履歴に基づく合理的なリスク管理の一環。ただし、その基準が非公開であることが透明性の欠如と批判されることはある。
関連用語
- ECN(電子通信ネットワーク):Aブックで使用される外部市場の一形態。銀行間の注文を直接マッチングする。
- STP(ストレート・スルー・プロセッシング):Aブックの一種で、注文を自動的に外部へ転送する方式。
- マーケットメイカー:Bブックの典型例。業者が自ら価格を提示し、取引の相手方となる。
- ノー・ディーリング・デスク(NDD):AブックとBブックの両方を含む広義の用語。業者がディーリング介入をしないことを指す。
XMとの比較
XMは「ノー・ディーリング・デスク(NDD)」執行を標榜しており、原則としてAブック(STP)モデルを採用している。ただし、XMの公式サイトでは、特定の口座タイプや状況に応じてBブック的要素が含まれる可能性について明記している。具体的な執行モデルやスプレッド条件は、口座タイプ(スタンダード、マイクロ、ゼロなど)によって異なるため、最新の情報は必ずXM公式サイトで確認すること。XMは顧客の取引スタイルに制限を設けていないが、約定品質は市場環境や流動性に依存する点に留意が必要だ。
コンプライアンスフッター
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