レンジの中に等間隔で指値を並べ、それぞれに小さな利確を付けて、損切りはしない。この形の自動売買は「ほったらかしで増える」と説明されることが多く、実際に利益は出ます。問題はそこではありませんでした。
この手法は勝率で評価してはいけない
損切りをしないので、含み損が戻るまで待てば必ず利確できます。実際、ロスカットを実装しない状態で回すと 21通貨ペアすべて・検証したすべての開始時期でプラスになりました。勝率も連勝記録も、この構造では自動的に良く見えます。見るべきはロスカットまでの距離と、そこに到達する確率だけです。
設定時期をずらすと、ペアごとにはっきり差が出た
各時点で「その時までの過去3年」からレンジを決めて5年運用する、を開始年を1年ずつずらして繰り返しました。設定は固定(間隔0.5%・利確1倍・レンジ中央から上は売り下は買い)で、後から成績の良い設定を選ぶことはしていません。
| 通貨ペア | ロスカットを免れた割合 | 年率の中央値 | 最悪の年率 | プラスで終えた割合 |
|---|---|---|---|---|
| EURGBP | 100% | +10.5% | +3.0% | 100% |
| EURNZD | 100% | +9.1% | +7.2% | 100% |
| USDCHF | 100% | +7.9% | -2.0% | 89% |
| EURUSD | 100% | +6.6% | -9.0% | 78% |
| GBPCHF | 100% | +3.9% | -3.7% | 67% |
| AUDNZD | 89% | +7.4% | -109.4% | 78% |
| EURCHF | 89% | +2.6% | -22.5% | 56% |
| AUDCHF | 89% | +1.7% | -92.3% | 56% |
| NZDJPY | 78% | +8.9% | -36.9% | 67% |
| NZDUSD | 78% | +7.4% | -105.6% | 67% |
| AUDJPY | 78% | +7.3% | -77.6% | 67% |
| GBPUSD | 78% | +2.1% | -61.4% | 56% |
| GBPAUD | 67% | +7.3% | -317.3% | 67% |
| USDCAD | 67% | +7.0% | -128.0% | 67% |
| CADJPY | 67% | +5.9% | -86.1% | 67% |
| EURJPY | 56% | -2.7% | -52.8% | 44% |
| AUDUSD | 56% | -7.3% | -104.9% | 44% |
| GBPJPY | 44% | -15.8% | -77.1% | 44% |
| EURAUD | 44% | -16.6% | -85.0% | 44% |
| USDJPY | 33% | -24.0% | -170.7% | 33% |
| CHFJPY | 33% | -24.6% | -130.6% | 33% |
EURGBP / EURNZD
固定レンジで16年間そのまま運用した場合
最初の3年でレンジを決め、以後は一切変更せずに走らせた結果です。必要資金は「レンジからさらに10%抜けても耐えられる額」=運用開始前に計算できる額で、指値1本の建玉額の何倍かで表しています。
| 通貨ペア | 必要資金に対する年率 | 必要資金(倍) | 決済回数 | スワップ損益分岐 | 合格した基準 |
|---|---|---|---|---|---|
| EURGBP | +13.64% | 3.07 | 572 | 7.23% | 7/7 |
| EURNZD | +10.35% | 3.33 | 523 | 9.30% | 7/7 |
| AUDJPY | +8.09% | 4.62 | 439 | 9.91% | 7/7 |
| GBPAUD | +4.86% | 5.92 | 182 | 15.44% | 6/7 |
| GBPJPY | +4.83% | 7.01 | 250 | 10.37% | 6/7 |
| CADJPY | +4.71% | 8.35 | 296 | 5.53% | 6/7 |
| NZDJPY | +4.37% | 13.71 | 475 | 9.82% | 6/7 |
| USDCHF | +3.85% | 7.39 | 242 | 8.75% | 6/7 |
| EURAUD | +3.71% | 7.94 | 184 | 13.69% | 6/7 |
| EURJPY | +2.57% | 8.61 | 168 | 8.23% | 6/7 |
| NZDUSD | +1.91% | 6.64 | 722 | 3.81% | 6/7 |
| GBPUSD | +1.22% | 1.60 | 51 | 1.74% | 2/7 |
| GBPCHF | +1.14% | 5.43 | 182 | 3.52% | 6/7 |
| USDJPY | +1.02% | 7.65 | 58 | 22.72% | 4/7 |
| CHFJPY | +0.72% | 8.39 | 45 | 27.17% | 3/7 |
| USDCAD | +0.50% | 2.36 | 8 | 10.28% | 3/7 |
| EURUSD | -1.51% | 5.22 | 214 | 0.66% | 4/7 |
| EURCHF | -3.03% | 9.81 | 408 | 1.04% | 5/7 |
| AUDCHF | -4.43% | 8.83 | 422 | 1.79% | 4/7 |
| AUDUSD | -13.18% | 7.54 | 305 | 0.73% | 2/7 |
| AUDNZD | -107.39% | 1.37 | 2 | 0.04% | 1/7 |
レンジが狭いペアほど安全、ではなかった
レンジが狭いと必要資金は小さくて済みます。しかしそれはロスカットされる価格が近いという意味でもあります。実際、レンジが最も狭かったペアは、決めたレンジの外で16年の98%を過ごし、決済2回のままロスカットに至りました。ヒント指標として使われがちなハースト指数も、通過したペアと全滅したペアでほとんど同じ値でした。
第二の死因はスワップ
建玉を数ヶ月から数年持つので、スワップ(金利差+業者の上乗せ)が効きます。表の「スワップ損益分岐」は、これを超える年率コストを払うと利益が消える水準です。上位のペアには余裕がありますが、下位のペアは実質的に不可能でした。必ずご自身の口座の実効スワップを確認してください。
検証で踏んだ3つの罠
① 結果を見てから「最低限これだけあれば生き残れた」という資金で年率を測ると、たまたまレンジを割らなかったペアが不当に有利になります。② ロスカットに到達した後の利確を計上してはいけません(初回はこれを取りこぼし、全ペアがプラスに見えていました)。③ 買い指値が約定した足の高値を利確に使ってはいけません。約定より前に付いた値かもしれないからです。
限界
1時間足で約定を判定しているので、分足の値動きで先にロスカットに掛かるケースは拾えません(生存率はやや楽観側)。レンジの見直しは「一度も変えない」と「5年ごと」の2通りしか見ていません。当サイトはこの手法の口座を持っておらず、これは読者が判断するための一次情報です。
検証の生データについて
本文の表は 168 構成の集計です。集計前の構成単位の生データ(CSV)と、検証プログラムの設計メモも配布しています。結論・全構成の成績・合格基準・不合格の理由は、すべてこのページで公開しています。 都合の悪い結果を限定側に隠してはいません。当サイト経由で口座を開設された方にお渡ししています(口座番号の照合のみ・メールアドレス不要)。
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本記事は当サイトが自ら実行した検証の記録です。特定の個人・団体・サービスを評価したものではありません。掲載した数値はすべて過去データに対するシミュレーションであり、将来の結果を示すものではありません。取引には元本を超える損失が生じる可能性があります。投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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