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オーダーブロック・FVG・流動性スイープは本当に勝てるのか|6ロジック・995,550トレードの機械検証

「勝率70〜80%」と紹介される6つのロジックを、実測スプレッド込みで995,550トレード回しました。利確は損切りの2〜3倍に固定(主張に最も有利な条件)。結果と、バックテストが良く見えてしまう決定的な理由を公開します。

ファクトチェック済み · 最終確認 2026年8月1日

情報の正確性について: このページの数値・規制情報は2026年8月最新に編集部が各社公式ページと規制当局の登録簿に照合しました。ボーナス額・スプレッド・規制状況は変わることがあるため、更新のたびに当編集部が一次情報源を再確認しています。 詳細な免責事項を読む

オーダーブロック・FVG・流動性スイープは本当に勝てるのか|6ロジック・995,550トレードの機械検証

「オーダーブロックに戻ったら買う」「フェアバリューギャップを埋めに来たところで入る」「前日安値を一瞬だけ抜いた後の反転を取る」。 こうした説明は、いま最も広く共有されているトレード手法の型です。あわせて「勝率70〜80%」「リスクリワードは1:2以上」という数字が添えられることも珍しくありません。

本記事は、この主張を人ではなくロジックとして検証した記録です。328構成・995,550トレードを実際に回しました。 誰かの発信を否定するための記事ではありません。同じロジックは多数の発信者が別々の名前で共有していて、 そもそも検証できる形で書かれているものが少ないため、機械可読に定義できたものだけを対象にしています。

検証したロジックと、その定義

条件が数式で書けないものは検証できないので、次の6つに限定しました。定義は検証前に文書として固定しています(結果を見てから条件を動かしていません)。

  • 価格の窓 — 3本のローソク足で開いた隙間(1本目の高値 < 3本目の安値)。窓の中心へ指値、損切りは窓の下端の外。
  • 直近の逆行足への戻り — 勢いのある動きが直近の高値を終値で抜く直前の、最後の逆方向の1本。その足の高値へ指値、損切りはその足の安値の外。
  • 安値・高値の一時的な抜け — 前日安値(または東京時間の安値)を下抜けたあと、その足が水準の上で引ける。次の足の始値で成行、損切りは抜けた安値の外。
  • 時間帯限定セットアップ — 特定の1時間の枠内で「直前レンジの一時的な抜け → 窓の形成 → 窓への戻り」が揃ったときだけ。時間帯はニューヨーク現地時間で判定し、夏時間の切り替わりも処理しています。
  • 構造転換 — 高値・安値が切り下がっている状態から、終値が直近の高値を上抜けた瞬間。その上昇の中でできた窓へ指値。
  • セッション初動フェード — セッション開始からの最初の15分(または30分)の動きを「だまし」とみなして逆に入る。

利確は損切り幅の2倍と3倍のみにしました。ここが検証の要です。利確幅を損切り幅より狭くすると、 入るところがどこであっても勝率は自動的に高く出ます(当サイトの別の検証では、完全にランダムに入っても勝率66.3%が出ました)。 損切り幅の2倍を利確に置いた場合、損益がトントンになる勝率は33.3% です。もし主張どおり勝率が70〜80%あるなら、 プロフィットファクターは4〜6になり、見逃しようがありません。つまりこの設計は、主張する側に最も有利な形です。

対象は米ドル/円・ユーロ/米ドル・ユーロ/円・英ポンド/米ドルの15分足と、これに金・米国株価指数を加えた1時間足。15分足は2021-05-17〜2026-07-31、1時間足は最長で2001-06-03〜2026-07-10。 スプレッドは広告値ではなく実測台帳の時間帯別の値を使い、往復分をすべてのトレードから引いています。

結果

検証したロジック構成数トレード数合計損益(pips)1回平均勝率
価格の窓(3本のローソク足で開いた隙間)への戻り56161,978-395,711-2.4425.9%
直近の逆行足(勢いが出る直前の1本)への戻り56267,058-652,594-2.4428.7%
前日安値・セッション安値の一時的な抜けからの反転80490,314-884,169-1.8030.6%
特定の1時間帯に限定したセットアップ(時間帯+一時的な抜け+窓)485,310-12,244-2.3135.9%
構造転換(直近の高値・安値を終値で抜いた後の押し目)5644,110-111,153-2.5232.2%
セッション初動を「だまし」とみなす逆張り3226,780-63,540-2.3728.2%
合計328995,550-2,119,412-2.13

合計で -2,119,412 pips、1トレードあたり -2.13 pips です。 事前に決めた合格基準(取引数・プロフィットファクター・年ごとの勝ち越し・多重検定の補正・期間分割・コスト2倍耐性)を すべて満たした構成は 0/328 でした。

「勝率70〜80%」はどうなったか

取引数が80件以上ある310構成のうち、勝率が50%を超えたものは0件でした。 最高は 47.5% (143件)で、統計上の誤差を最大限に見積もった95%区間は 39.5%〜55.7%その区間の上限が70%に届く構成は0件です。

つまり、標本の少なさで説明できる範囲を超えて、70〜80%という水準には届いていません。 先ほど書いたとおり、この検証は利確を損切りより広く取っているので、勝率が下がるのは設計どおりです。 問題は下がった勝率が損益分岐点(33.3%)を下回っていることのほうです。

同じ出口で「ランダムに入った場合」と比べる

手法に意味があるなら、入るタイミングを完全にランダムにしたときより成績が良くなるはずです。 損切り幅の分布も利確倍率も同じにして、方向だけをランダムにしたものと並べました。

ロジックトレード数実測の勝率同じ出口でランダムに入った場合
価格の窓80,98928.8%31.9%-3.1pt
逆行足への戻り133,52931.8%31.9%-0.2pt
安値・高値の一時的な抜け245,15733.6%32.2%+1.4pt
時間帯限定セットアップ2,65538.2%31.6%+6.6pt
構造転換22,05534.6%31.9%+2.7pt
セッション初動フェード13,39031.4%31.5%-0.1pt

入り方を工夫しても、ランダムに入ったときとほとんど変わりません。 一部はランダムを下回っています。 時間帯限定セットアップだけが目に見えて上回りましたが、こちらは取引数が少なく、合計損益はマイナスのままです。

期間を前後に割ると

「過去の成績が良かったものを選ぶ」という行為そのものを評価するため、期間を前70%と後30%に割り、 前半で最も成績が良かった構成を選んで、後半で答え合わせをしました。

後半がプラスになった構成は全体の 9.8% (326構成)。コインを投げれば50%です。 選ぶという行為が、将来の成績をむしろ悪化させています。

★ここからが本題:バックテストが良く見える理由

実は、最初に回したときは1時間足では6銘柄すべてがプラスになりました。 プロフィットファクターは 1.16〜1.42、勝率は42%前後。期間を割ってもプラスが維持されていました。

原因は、コードの1行でした。

指値が約定した足の高値を、利確の判定に使っていた。

ここで挙げたロジックは、入り方がほぼすべて「今の値段より下(買いの場合)に置く指値」 です。 窓の中心、逆行足の高値、抜けた安値の外側 — どれも現在値の下にあります。

ということは、その足の高値は「約定するより前」に付いた可能性がある。 値段が上に伸びてから下がってきて指値に刺さった足なら、その高値はまだポジションを持っていない時間帯のものです。 それを利確として数えると、入る前に付けた値段で利益を確定したことになります

約定した足では損切りだけを判定し(損切りは指値より下にあるので、必ず約定の後にしか届きません)、 利確は次の足以降で判定するように直しました。結果はこうなります。

銘柄(1時間足)トレード数約定バーの利確を許した場合:損益同:勝率正しく判定した場合:損益同:勝率
USDJPY5,976+5,069 pips42.7%-12,216 pips29.1%
EURUSD5,721+4,500 pips42.4%-10,572 pips28.9%
EURJPY6,573+7,698 pips42.8%-14,514 pips29.2%
GBPUSD6,190+6,118 pips42.2%-12,511 pips29.0%
XAUUSD2,621+5,384 pips42.9%-2,100 pips30.3%
US301,783+1,087 pips40.1%-2,271 pips28.4%

6銘柄すべてがプラスからマイナスに反転し、 プロフィットファクターは 1.16〜1.42 から 0.68〜0.86 へ、勝率は42%前後から29%前後へ落ちました。

この1行の差が、 「バックテストしたら勝率70%だった」という報告と、実際の成績の差です。

直しすぎていないかを、1分足で確かめた

「約定した足では利確を一切認めない」というのは、逆に厳しすぎるかもしれません。 実際には、足の前半で指値に刺さって、後半で利確に届いた取引もあるはずです。

そこで1分足のデータで「何分に約定したか」を特定してから決済を解き直し、1時間足での判定と突き合わせました。

銘柄照合したトレード1時間足判定と一致足の粒度で覆った件数逆方向の取り違え平均差
USDJPY2,26893.3%1200+0.97 pips
EURUSD1,80293.6%900+0.74 pips
EURJPY2,26694.1%1010+1.07 pips
GBPUSD2,14493.4%1140+0.89 pips

判定が一致したのは 93.3%〜94.1% 。 ずれた分はすべて「1時間足では損切りだったが、1分足で見ると先に利確へ届いていた」方向で、逆方向の取り違えは0件でした。 平均の差は 0.74〜1.07 pips です。

つまり、修正版は1トレードあたり1pips程度だけ保守的なだけで、 修正後の赤字(1回あたり1.8〜4.2 pipsのマイナス)を埋めるには全く足りません。方向も大きさも分かっている誤差です。

なぜこれが広く起きるのか

足の中で「約定」と「高値」のどちらが先だったかは、その足のデータだけでは分かりません。 チャートツールに載っているストラテジー機能、取引ソフトの足単位のテストモード、チャートを1本ずつ進める手動検証 — いずれも同じ限界を持っています。指値で入るロジックは、この限界を踏みやすい構造をしています。

悪意の話ではありません。検証の道具が持っている性質です。だからこそ、指値で入る手法の検証結果は、 「約定した足の利確をどう扱ったか」を確認しないと読めません。

コストの構造

なぜ勝てないのかは、1トレードあたりの数字を並べると分かります。

検証条件平均の損切り幅平均の往復コストコスト/リスク比1回平均の損益
EURUSD 15分足・実測スプレッド5.1 pips1.57 pips30.8%-1.79 pips
EURJPY 15分足・実測スプレッド6.0 pips3.60 pips60.4%-4.19 pips
EURUSD 1時間足・最小スプレッド仮定7.6 pips1.00 pips13.2%-1.85 pips
金 1時間足・最小スプレッド仮定8.2 pips0.50 pips6.1%-0.80 pips

損切り幅に対してコストが占める割合が、15分足では3〜6割にもなります。 1時間足で損切り幅を広げ、さらに最小スプレッドを仮定してコストの割合を6%まで下げても、まだマイナスです。

これは「スプレッドが高いから負けている」という話ではありません。コストを引く前の期待値がほぼゼロだ、という話です。 当サイトの別の検証でも、保有期間を数時間から数週間へ伸ばしてコスト比率を下げる実験を行いましたが、同じ結論に到達しています。

「実装が甘かったのでは」への答え

条件を緩く書けば、ほとんどの足でシグナルが出てしまい、それは検証ではなくただの乱数になります。 そうなっていないことを示すため、各ロジックが全体の何%の足で発火したかを記録しました。

  • 価格の窓: 1,000本あたり 98.8〜113.4 件
  • 時間帯限定セットアップ: 1,000本あたり 1.1〜3.3 件(時間帯・一時的な抜け・窓・戻りの4条件をすべて課しているため)

また、取引が1件も発生しなかった構成は0件でした(条件が論理的に矛盾していると、シグナルが出ないまま「検証した」ことになってしまいます)。 未来のデータを見ていないこと、夏時間の切り替えが正しいこと、コストが必ず引かれていることは、自動テストで機械的に検査しています。

ナンピン+ロット倍化について(別枠)

「含み損が出たら買い増して、ロットを倍にしていけば、少し戻っただけで取り返せる」という設計のツールがあります。 これは勝率やプロフィットファクターで評価してはいけません。設計上、ロスカットされるまでは高い確率で勝ち続けるからです。 測るべきは破綻するまでの時間です。

初期資金1万ドル、証拠金維持率が100%を割ったらロスカット、開始月を1ヶ月ずつずらした全パターンで回しました。

ロット倍率銘柄ロスカットに至った割合到達までの中央値早い方から10%最終残高の中央値
×1.0(倍化なし)USDJPY0.0%$11,447
×1.0(倍化なし)EURUSD0.0%$12,092
×1.0(倍化なし)GBPUSD0.0%$11,001
×1.5USDJPY80.6%151日30日$4,940
×1.5EURUSD68.3%317日45日$5,270
×1.5GBPUSD90.5%178日24日$4,777
×2.0USDJPY80.6%105日20日$4,248
×2.0EURUSD84.1%225日42日$6,159
×2.0GBPUSD90.5%122日20日$4,887

ロットを倍にした瞬間に、ロスカット到達率が跳ね上がります。 倍率2.0では 80.6%〜90.5%。到達までの中央値は 105〜225日、早い方から10%は 20〜42日でした。

一方、ロットを倍にしない場合はロスカット到達0% 。ただし5.2年で最終残高の中央値は $11,001〜$12,092 で、年率にすると数%です(しかもこの試算にスワップを入れていないので、実際はさらに削られます)。

重要なのは生き残った側の数字です。ロスカットされなかったパターンだけを見ると、最終残高の中央値は開始資金を大きく上回ります。 つまり 「素晴らしい成績のツール」に見える標本は必ず存在します。そして到達までの中央値が3〜9ヶ月ということは、 数ヶ月ぶんの成績表は、ちょうど生存期間の内側に収まります

レバレッジを500倍から1000倍に上げても、到達率はほとんど変わりませんでした。効いているのはレバレッジではなくロット倍化です

検証できなかったもの

収集の過程で分かったことがもう1つあります。大きな利益を公表している事例の多くは、そもそも検証できる形になっていないという点です。

「相場の流れを読む」「オーダーが偏った瞬間を狙う」「上位足で方向を決めてから押し目を買う」— こうした説明には、どの数字がいくつになったら入るのかが書かれていません。条件が定義されていなければ、 正しいかどうかを確かめる方法がありません。確かめられないものを「検証しました」と書くことはできないので、本記事では対象外にしています。

ただし、「確かめられない」ということ自体が判断材料になります。 再現できない手順は、それを読んだ人が同じ結果を出せるかどうかを、事前に知る方法がないということです。

まとめ

  • 328構成・995,550トレードを回して、事前に決めた基準を満たした構成は 0件
  • 「勝率70〜80%」は、統計上の誤差を最大限に見積もってもこの定義では確認できませんでした(最高 47.5%)。
  • 入り方を工夫しても、同じ出口でランダムに入った場合とほとんど変わりません
  • バックテストが良く見える最大の原因は、指値が約定した足の高値を利確に使ってしまうことでした。直すと結果が反転します。
  • ロット倍化型のツールは、勝率ではなくロスカットまでの時間で見るべきものです。

この記事は「勝てる手法を教える」ものではありません。検証の仕方を1つ共有するものです。 指値で入るロジックの成績表を見たときは、まず「約定した足の利確をどう扱っているか」を聞いてみてください。


検証の生データについて

本文の表は、328構成・995,550トレードを集計したものです。集計前の構成単位の生データも配布しています。

配布物: 銘柄×時間足×ロジック×パラメータごとの取引数・勝率・プロフィットファクター・年別損益・多重検定補正後の有意度(CSV)と、検証プログラムの設計メモ(約定判定の順序、夏時間の扱い、コストの引き方、1分足での照合手順)。

これはトレードの記録ではありません。結論・6ロジックすべての成績・合格基準・不合格の理由は、すべてこのページで公開しています。 都合の悪い結果を限定側に隠してはいません(そもそも全滅という結果です)。生データを限定にしているのは、当サイトの検証を支えている部分だからです。

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